「空中スキップ」を読みましたよ

ジュディ・バドニッツ岸本佐知子・訳「空中スキップ」(マガジンハウス)読了。

ひとり岸本佐知子フェアを地味にまだやっています。今回は、ショートショートに近い長さの短編が23編詰まった本。なのでどこから読んでもさらっと読めてすぐに読み終わり、手元にちょっと置いておくのに最適です。などと言おうと思いましたが、そういう本ではありませんでした。短い中でどこに連れて行かれるのか判らない、不安感が流れている作品がほとんどの、わりと救いのない話の多い短編集でした。どれも不安感や妄想やこの先の不透明さは通底するものがありますが、「生まれない世界」はそれでいてどこかほの明るい感じ。「道案内」は、地図屋が作者本人なのだろうかな。と思う感じ。「電車」は、たまたま乗り合わせた人々の生活や思いを、電車に乗っている間だけひたすら妄想する話。ニコルソン・ベイカーを思い出しました。あと、インパクトとして「チア魂」を挙げておきます。怖い。
タイトルの「空中スキップ」のごとく、足に地が着かないままにあちらこちらに背中を押されて行くような気持ちになりましたが、それは心地よいというよりも不安に満ちた道行きでした。それでも、もう二度とこんな思いはしない!とは思わない感。元気な時に読むとよさそうです。