三津田信三2作読みましたよ

「厭魅の如き憑くもの」(まじもののごときつくもの)・「首無の如き祟るもの」(くびなしのごときたたるもの)・共に原書房の2作を読みました。両方とも怪奇幻想作家・刀城言耶が登場するシリーズで、ミステリですがホラーや伝奇ものとしての色合いがかなり強くなっています。最初に「厭魅」を読んだ時は、ベタだけどいまいちなーオチは上手いと思ったけどなー程度でしたが、「首無」の評判が高いので続けて読んでみました。なるほどこれは面白い。首のない死体にまつわるお約束を踏襲してラストまで持っていく展開が鮮やかでした。こわいぜー。
内容については下手に触れるとネタバレなので控えますが、閉鎖的な集落やそこに根付いた一族と因習、双子、数々の儀式、余所者に対する視線、呪いや生霊などのキーワードに反応する人にはいいかもしれません。何かが出る時はごていねいに「ずるっ…」とか臨場感あふれる描写が満載だよ!文章がまだるっこしいというか、かったるいのは仕様なのかな。そこにも仕掛けがあったりなかったりするので、演出のうちかなこれ。と思いつつ、早く!本題に!入れ!という気持ちになるのも事実。その辺は相性の問題になりそうです。それと全体にかなりホラー的な要素が強いので、あれ、あの事件ってうやむや?怒濤の謎解きの間になんか考察してたっけ?あれ?となる部分があったのがちょっとだけ不満と言えば不満。ノベルゲーである「流行り神」の別形態を読んでいるような気持ちになりました。*1
とは言え、ベタベタな設定というのも時々読むと非常に楽しいものでした。よかったです。

*1:流行り神」は分岐で科学かオカルトのルート分岐があるわりに、どちらにもオカルトでしか説明できない事態が残る