活版印刷の本

今読んでいる「パルムの僧院」は、古い岩波文庫版なので活版印刷です。今のつるつるとした字とは趣がことなった、濃淡のムラや活字のかすれがあったりするその印刷は読みやすいかと言われればちょっと読みづらいのですが、同時になんとなく好ましい雰囲気も持っています。
リンク先活版印刷についての詳細な説明が載っています。細かいし根気はいるし、アルファベット26文字ですら大変だろうに漢字仮名交じりの日本でよくこんなものが!と、出来上がった本を読むだけでも感嘆する。古代エジプトで粘土板に文字を刻んでいた時代、消しゴムとか「元に戻す」コマンドとかないんだよな恐ろしい!と思ったのと同じような感嘆。*1
手間のかかり方たるやすさまじいものですが、手間がかかっているからと言って無条件にいいものであるわけでもなし。何か、少なくともわたしには訴えかけるものがあるようです。今はもっぱら、手に取って活版だと気付くと「これは訳が古いんだな」とちょっとだけ身構えたりしつつ、ちょっとだけ得したような気分にもなっているのでした。
で、「パルムの僧院」は上巻が終わろうというところですが、主人公にいまいち成長が見られないよ!この先どうするんだよ!

*1:余談ですがインダス展を見に行った時、書き損じまで展示されてて面白かった。人も文化もめんめんと繋がってるんだなあ。