開いた先には

先日、太宰治「斜陽」を読んだので同じ文庫のシリーズで「ヴィヨンの妻」もあったし読もうかなーと手に取りました。目次を見たら短編集、それならちょっとの隙間で読み進められそうな。って。 「トカトントン」が入ってるよこの作品集。 と言うわけで、その…

「斜陽」を読みましたよ

いったいこれは何年前に出た本だ。という、定価100円の文庫本を引っ張り出して読んでました。 このマザコンどもが! というのはともかくとして、弟のだめっぷりが心に響いて問答無用で七三分けとかにしてやりたい衝動にかられますが、そう思いつつも始めて読…

いっそ森薫あたりでどうか

ちょっとした縁があって、森薫「シャーリー」(エンターブレイン)を譲り受けました。メイド萌えとか好きというよりは、貴族社会とその周辺そのものの雰囲気が好きなのかなこの人。と思ったのもあり、そろそろオースティンの「高慢と偏見」も萌え対象になっ…

「丹生都比売」を読みましたよ

梨木香歩「丹生都比売(におつひめ)」(大森林)読了。 まず、装丁がうつくしい本だと思いました。表紙も中の紙も活字の置き方も、静かに定着するような印象。物語は歴史の教科書に必ず出てくる「壬申の乱」、その目立たない登場人物である草壁皇子が主人公…

「シュガータイム」を読みましたよ

小川洋子「シュガータイム」(中公文庫)読了。 作者の初めての長編小説ということで、これまで読んだものとは多少雰囲気が違うのかな。と思いながら手に取りましたが、流れているものは同じだという印象を受けました。でも最終章がちょっと蛇足っぽく感じた…

「死の内幕」を読みましたよ

天藤真推理小説全集3「死の内幕」天藤真・著(創元推理文庫)読了。天藤真は「大誘拐」があちこちで名作だ!という評判は聞いていましたが、実際に読むのはこれが初めて。図書館にたまたまあったということと、設定が面白いので読んでみました。過失で殺人を…

「荊の城」を読みましたよ

サラ・ウォーターズ/中村有希・訳「荊の城(上・下)」(創元推理文庫)読了。この作家の本は以前に「半身」を読んでいて、うわ騙された!それはそうだけど、主人公どうにかなれよもうちょっとー!と思ったので、ちょっと博打だよなと思いつつも、図書館に…

「ウォーターメソッドマン」を読みましたよ

ジョン・アーヴィング/川元三郎・岸本佐知子・柴田元幸(共訳)「ウォーターメソッドマン」(新潮文庫)読了。だめというかしょうもないというか、まあわりとこういう奴いるよな。と言うか、自分の中にいたりしがちだ。みたいな主人公トランパー・通称ボー…

「ハヅキさんのこと」を読みましたよ。

川上弘美「ハヅキさんのこと」(講談社)読了。読む前は書店で帯を見て、「ハヅキさん」との物語、長編だと思っていました。いざ図書館で借りてみたら、ごく短い話がたくさん載っている本で少しびっくり。作者の実体験がわりと濃く投影されているというか隠…

ジェイン・エアを読みましたよ

シャーロット・ブロンテ著/小尾美佐・訳「ジェイン・エア」(上・下)光文社古典新訳文庫、読了。 昔…もう10年は前であろう時に「嵐が丘」を読んで、そのままブロンテ姉妹つながりでこの作品も読んだのですが、前半部分のあまりの暗さ不幸さにめげて投げて…

「空中スキップ」を読みましたよ

ジュディ・バドニッツ/岸本佐知子・訳「空中スキップ」(マガジンハウス)読了。ひとり岸本佐知子フェアを地味にまだやっています。今回は、ショートショートに近い長さの短編が23編詰まった本。なのでどこから読んでもさらっと読めてすぐに読み終わり、手…

「さくらんぼの性は」を読みましたよ

ジャネット・ウィンターソン/岸本佐知子・訳「さくらんぼの性は」(白水Uブックス)読了。面白かった!次々に登場する不思議な登場人物たち、うつくしさと残酷さが混在する、時代も場所も混在する世界。象をも吹き飛ばす巨大な「ドッグ・ウーマン」とその息…

本の検索

最近は読みたい本を探してくれる場が多くなっているようで、ブックソムリエという職業(?)もあるし、お勧めの本を紹介してくれるバーなんというのもあるそうです。あとはネット上で自分と趣味の近い感想文書きを探すのもいいですね。たまにものすごい勢い…

思い出せない

先日、カート・ヴォガネットの訃報を聞いて、ああそういえば生きているうちには一作も読まなかったのだなあと思いました。翻訳文体があまり得意でないので、自分の中で波が来ないと海外文学は読まない上に、現代アメリカ文学って読んだことあったか…せいぜい…

うっかりにも程がある

ジョン・アーヴィング「ウォーターメソッドマン」を図書館予約して、来たので受け取りに行きました。 しまったペーパーバックだった。原書だった。 読んでる暇がないよー!そもそも読めるほど英語に精通してないよー!ということで返すつもりでいますが、ペ…

「フェルマータ」を読みましたよ

ニコルソン・ベイカー/岸本佐知子・訳「フェルマータ」(白水Uブックス)読了。「フェルマータ」というのは音楽記号で「できる限り延ばす」という意味。これが音符の上に付いていると、その楽器と自分のテクニックの許す限り音を引き延ばしなさい、というこ…

「エマ」を読みましたよ

ジェイン・オースティン、中野康司訳「エマ」上・下(ちくま文庫)読了。「高慢と偏見」が非常に面白かったので、図書館で見かけたこちらも読んでみました。やはり舞台は19世紀の英国。主人公エマはかわいくて頭がよくて若くて甘やかされて育ったお金持ちの…

「半身」を読みましたよ

サラ・ウォーターズ、中村有希・訳「半身」(東京創元社)読了。図書館でうろうろしている時に、以前気になった名前のような気がする…けどたぶんこの本じゃないなと思いながら借りてみました。出版社からしてミステリ…なのか?でも霊媒?と思いながら読み進…